復讐のジャケット?
俺は驚いた。
…生きてる。
俺は死んだ筈だ。
奴に復讐する事も出来ずに…。
だが、俺は生前の状態そのままでここに立っている。
唯一可笑しな所と言えば、この豊富に蓄えた無精髭。
そして長く伸びたボサボサの髪や、このボロボロの服。
以前の俺は勿論、こうじゃなかった。
やはり可笑しい。
一体俺はどうしたんだ…。
取りあえず俺は辺りを見回した。
目の前には汚れた壁。
荒れ果てたゴミステーションに、無造作に置かれたポリバケツ。
そして、傍らに転がる謎の男の死体…。
「これは…」
俺はそう呟き、その死体の顔を覗き込んだ。
「!?」
俺は思わず驚愕した。
その死体の顔はまさしく、
…俺だった。
俺は驚きを隠せなかった。
何故俺がここに倒れているんだ…。
全く理解が出来ない。
その死体の服装も、俺が死ぬ前の服装とジャケットを除けば全く同じだ。
なのに今の俺は、こんなボロボロの服装になっている。
唯一、俺のお気に入りの革ジャケットだけが、元の間々俺を包んでいた。
「まさか…」
俺は居ても立ってもいられず、路地裏から飛び出した。
歩道をひたすら走ると、俺は近くのスーパーへと飛び込んだ。
そしてトイレに入り、鏡の前に立つ…。
「嘘だろ…」
俺は我が目を疑った。
そこに映ったのは、全く違う自分だった。
「…体が入れ替わったとでも言うのか?」
俺は呟くと、鏡に映る自分じゃないその顔に見覚えがある事に気が付いた。
それは俺が死ぬ直前に、俺の顔を見ながらひたすら俺に声をかけていた男の顔だった。
…おれは確信する。
「なるほど…」
何故かは分からないが、どうやら俺はその男の体に乗り移ったらしい。
俺は鏡に映る男に向かって言う。
「悪いがお前の体、俺の復讐の為に使わせて貰うぞ…」
新たな肉体を手に入れた俺がやることは1つ。
…奴を潰す事だ。
「神よ、感謝するよ」
俺はそう呟き、トイレから出た。
感想
- 18812: 翔:読み応えがありますねー!!さすがミッシェル [2011-01-16]
- 18822: すごい展開になってきた……:ゅゅ [2011-01-16]
- 18833: ミッシェル:どうもありがとう? [2011-01-16]