遺言 (1)
「遺産はどうなるのかな」
「まあ、三等分だろうな」
「遺産がそんなにたくさんあるとは思えないけどね……」
父親の葬式も終わり、三人の兄弟が遺産について話し合っているところへ、父親の弟、つまり彼らの叔父が入ってきた。
「葬式が終わったら、これを再生してくれって……。兄さんの遺言かもしれない」
そう言って差し出したのは、一本のカセットテープ。家族を集めて、さっそく再生してみる。
『……えー、わしもそう長くはない。そこでな。遺言しておこうと思う――』
懐かしい声だった。兄弟達は三人とも、母親の死に目には会えたのに、父親の死に目には間に合わなかった。
『……あー、遺産についてだが、三千万ほどある』
「そんなにあるのか」
長男がびっくりしたように呟く。だが、驚くのはまだ早かった。
『……しかし、お前らみたいな親不孝者に、やる金はない』
「なんだって」
全員が耳を疑った。
『……遺言だ。わしの全財産を、誰にも使われないよう、庭の松の木の下に埋めてくれ。以上』
再生が終わる。重苦しい沈黙。
「まあ、三等分だろうな」
「遺産がそんなにたくさんあるとは思えないけどね……」
父親の葬式も終わり、三人の兄弟が遺産について話し合っているところへ、父親の弟、つまり彼らの叔父が入ってきた。
「葬式が終わったら、これを再生してくれって……。兄さんの遺言かもしれない」
そう言って差し出したのは、一本のカセットテープ。家族を集めて、さっそく再生してみる。
『……えー、わしもそう長くはない。そこでな。遺言しておこうと思う――』
懐かしい声だった。兄弟達は三人とも、母親の死に目には会えたのに、父親の死に目には間に合わなかった。
『……あー、遺産についてだが、三千万ほどある』
「そんなにあるのか」
長男がびっくりしたように呟く。だが、驚くのはまだ早かった。
『……しかし、お前らみたいな親不孝者に、やる金はない』
「なんだって」
全員が耳を疑った。
『……遺言だ。わしの全財産を、誰にも使われないよう、庭の松の木の下に埋めてくれ。以上』
再生が終わる。重苦しい沈黙。
感想
感想はありません。
「 阿部和義 」の携帯小説
- サンタさん、ありがとう! (2)
- サンタさん、ありがとう! (1)
- 仕分け
- もう、そんな世代なんですね
- 赤面してしまいました……
- カレーキングを注文した人がいたんです!
- 思春期の男子が考えることといえば……