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色あせない桜?

[380]  陣内  2006-07-27投稿
『私…俊介と付き合ってたんだ』急にそんなことを言ってしまった。

『…知ってたよ』千秋は答えた。

『知ってたんだ…』

『ああ……』千秋はゆっくりと頷いた。

『この桜を見て思ったんだけど、私と俊介の恋って桜に似てるよね…』

『…………』

『パッと恋が咲いたと思ったらあっという間に散っちゃうんだもん。儚いよね…』

私は桜の木を眺めた。桜が咲いていないこの木は何の魅力も感じなかった。

『楓…』

『それにね…桜みたいな綺麗な恋だったから…忘れられないの…。俊介のことを忘れたくても忘れられないの!』

私は…この詰まるような思いでこの身が張り裂けそうな感じがした。

『…忘れない方がいいよ。楓が俊介のことを忘れないでずっと覚えていたら、俊介は…楓の中でずっと生き続けるんだから』

俊介が生き続ける…。その言葉を聞くと、心が少し軽くなったような気がした…。

『そうだよね…。今度は私が俊介を助ける番だよね』

何年たっても俊介のこと…忘れないから……。

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