カオスバスター 第3話:門
(…なんだよ。このマンガみたいな展開。)
教室を出て一時間。ツバサは冷静になり始め、少し現実的に考えた。
(フツーに考えたらありえねぇんじゃねぇか?勢いで行くって言ったけど…学校はどうなるんだよ…。)
リクの運転する車に乗り、ツバサは少しずつ不安になって行く。
(ってか同い年だろ?無免じゃねぇの?なに平然と運転してるの?)
…不安は募るばかり。
「…そろそろゲートに着くぞ。」
「ゲート?」
「あぁ。俺がこっちに来るときに使ったキュルと繋がってる門だ。」
「ふ〜ん。さっきのレアなんとかってのもそこを通ったのか?」
「いや違う。奴等は『次元のひずみ』を通ってくるんだ。」
「『次元のひずみ』?なんだソレ?」
「要するに時空に空いた穴さ。キュルから吸い込まれ、こっちに抜けてくるんだ。…さぁ着いたぞ。」
ツバサとリクは何もない草原に来ていた。「?ゲートなんてないぞ?」
「これから出すんだよ。…鍵(ブロックキー)!」
ツバサとリクの前に黒いブロックが現れた。
「これを言霊で壊すんだ。それでキュルの民と認められる。」
「ふ〜ん。どうやって言霊使うんだっけ?」
「あぁまだ覚醒したばかりだよな。ブロックの前に左手をかざして、言霊を手の甲に書けばいいんだよ。こんな感じに。」
そう言ってリクは左手をブロックにかざし、手の甲に『刃』と書いた。その瞬間、手からいくつもの刃が飛び、ブロックは切り刻まれた。
「な?簡単そうだろ?」
リクの前に門が現れ扉が開いた。
「先に行ってるぜ?早く来いよ!」
そう言ってリクは門の中に消え、リクが入ると門も消えていった。
「お、おい!」
ツバサは一人取り残され、行くべきかどうか迷っていた。
(ここからオレの街までかなり離れてるよな。…一方通行か。)
ツバサはブロックに手をかざし、左手に『波』の言霊を書いた。ブロックは後ろに飛ばされ砕けた。そしてツバサの前にも門が現れた。
「もう一度言うぜ。どこへでも行ってやる。」
ツバサは意を決し、自分の生まれ育った世界に別れを告げ、異世界の門をくぐった。
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