オンリー・ザ・ヤング (2)
「寺田さんと悠美ちゃんが付き合ってるらしいよ」
悠美ちゃんは入社二年目で、小柄で大人しくて目立たない女性だったし、目鼻立ちがはっきりして可愛い子という印象しかなかった。
どういった経緯で二人がそんな関係になったのかは知らない。ヤングが悠美ちゃんの部署に異動になったのは、奥さんが流産したすぐ後だったことを考えると、ヤングの心のどこかにぽっかりと空いた隙間から、たまたま悠美ちゃんが入りこんでしまっただけなのかもしれない。
ヤングなら、哀しみを仕事に打ち込むことで晴らしてくれる、と信じていた僕には大きなショックだった。さらにショックだったのは、二人の関係が他の部署にも知れ渡ることとなって、突然一緒に退社してしまったことだ。
理由はどうであろうと、「お世話になりました」の一言も言えなかったことは、悔やんでも悔やみきれない。
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