ほんの小さな私事(81)
山下さんの事は心配だが、私たちは、自分の荷物をまとめて、帰路についた。
「それにしてもカズちゃん、どうしちゃったのかな?ショックで自分がわかんなくなっちゃったとか…かなぁ?そんな事、ないと思うけど…。」
正直な所、人は取り乱すと、人が想定しないような行動をすると言う事は、昔、人の精神について書かれた記事か何かで見たことはある。
だがしかし、それはあくまで、極限状態の人が、予測不能な行動を起こすという感じに書いてあったし、山下さんがそれほどの状態に陥ったとは、考え難い。
そもそも、側に香取君が居て、彼女を見ていてくれたなら尚更、極限に取り乱すという事態には至るとは考えにくい訳で…。
「何はともあれ、今は無事に、先生方が、山下さんを見つけてくださる事を願うしかありません。」
「うん…だよね…。」
それから暫く、私たちの会話は途切れた。
何を言って良いのか、わからなくなっていたのもあるのだが、今日の出来事を反芻してみると、色々、気になる事が多くて、それらを考えるので頭がいっぱいになっていたのもある。
「あ…沙羅ちゃん、もうお寺よ。」
「あら、いつの間に。」
そこで漸く、二人は顔を見合せ、吹き出した。
「考えすぎ、考えすぎッ!きっとカズちゃんも、明日の朝、元気な顔見せてくれてる筈よ。問題無い、問題無い!」
「ですね。またここで明日待ち合わせて、学校へと行きましょう。」
山下さんが心配なのはあるけれど、そんな事をいつまで言っていても仕方がない。
それをお互い感じながら、敢えて明るく振る舞いつつ、私たちは、お寺の前で手を振りあって別れた。
「それにしてもカズちゃん、どうしちゃったのかな?ショックで自分がわかんなくなっちゃったとか…かなぁ?そんな事、ないと思うけど…。」
正直な所、人は取り乱すと、人が想定しないような行動をすると言う事は、昔、人の精神について書かれた記事か何かで見たことはある。
だがしかし、それはあくまで、極限状態の人が、予測不能な行動を起こすという感じに書いてあったし、山下さんがそれほどの状態に陥ったとは、考え難い。
そもそも、側に香取君が居て、彼女を見ていてくれたなら尚更、極限に取り乱すという事態には至るとは考えにくい訳で…。
「何はともあれ、今は無事に、先生方が、山下さんを見つけてくださる事を願うしかありません。」
「うん…だよね…。」
それから暫く、私たちの会話は途切れた。
何を言って良いのか、わからなくなっていたのもあるのだが、今日の出来事を反芻してみると、色々、気になる事が多くて、それらを考えるので頭がいっぱいになっていたのもある。
「あ…沙羅ちゃん、もうお寺よ。」
「あら、いつの間に。」
そこで漸く、二人は顔を見合せ、吹き出した。
「考えすぎ、考えすぎッ!きっとカズちゃんも、明日の朝、元気な顔見せてくれてる筈よ。問題無い、問題無い!」
「ですね。またここで明日待ち合わせて、学校へと行きましょう。」
山下さんが心配なのはあるけれど、そんな事をいつまで言っていても仕方がない。
それをお互い感じながら、敢えて明るく振る舞いつつ、私たちは、お寺の前で手を振りあって別れた。
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