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ラノベ息子

[442]  雛祭パペ彦  2006-07-28投稿
「あんたの友達に、柏原くんっているでしょ?」
 母が、料理を作りながら言った。
「同じクラスだよ」
 カレー用の大皿をテーブルに並べながら、僕は答える。
「その柏原くんの家に、未来人がやって来たって本当なの?」
 鍋をかき混ぜる手を休めて、母が振りかえる。
「うん。その未来人、僕らと同じくらいの歳で『ピポ子ちゃん』っていうんだよ」
 未来国税査察官のピポ子ちゃん。
 最近、柏原くんと一緒に登校してきては、必ず何らかの騒ぎを起こしていた。
「で、あんたは?」
 母が、いきなり僕を睨みつける。
「えっ、何?」
 驚いた僕は、皿を並べる手を止める
「だから、あんたには、誰か来ないの?」
 言っている意味がわからない。
「誰かって、誰?」
「ピポ子ちゃんみたいな未来人とか、宇宙人とか、地底人とかが、我が家を訪れないのかって聞いてんのよ!」
 ヒステリーを起こした母が、拳をテーブルに叩きつける。
「そんなこと言われても…ライトノベルじゃあるまいし」
「なんだと!」
 ちょうど帰ってきた父が、僕を怒鳴りつける。
「おい、バカ息子! 一体、何のために高い金を出して『学習机』を買ったと思っているんだ!」
「何のためって、学習机は勉強するために…」
「このクズ野郎! 学習机とは、あの一番幅広の引き出しから、未来人とか異世界人とかに登場してもらうための出入口だろ!」
 知らなかった。
「あんた、ちゃんと整理整頓してる? 未来人が来ないのは、きちんと片付けてないからよ!」
 そんな馬鹿な。
「だいたい、おまえは……」
 と、父が説教モードに入ろうとした瞬間、炊飯器のアラームが鳴った。
「…あなた、お説教は後にして、先に夕飯を食べましょ」
「うむ。それもそうだな…バカ息子! さっさとみんなの皿にご飯を盛り付けろ!」
「う、うん」
 僕は、あわてて炊飯器のフタをあける。
「あれ?」
 湯気が去ったあとの炊きたてご飯の上に、なぜか、ピンク色の大きなリボンが乗っていた。
「ねえ、おかーさ」
「うぼぁぁぁ!」
 僕が、母にリボンの理由を聞こうとした瞬間、炊飯器の中から、何かが飛び出してきた。

「はじめましてぇー、こんばんわぁー!」

 僕の目の前に現れたのは、ポニーテールで、セーラー服を着ている、瞳が大きな、ほっぺを赤く染めた、米粒まみれの、スネ毛ボーボーのオッサンだった。 

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