僕らのこと?
入部して1ヶ月が経とうとしていた。
私は松本先輩がいるトランペットに、絵里はフルートを選んだ。
自分で言うことではないが、かなりセンスはいいらしく、私はすぐに他の先輩たちとも馴染んだ。
音楽室からはグラウンドが良く見える。
亮太がボールを蹴っている姿はほとんど見ることなく、常に走っている。
私と絵里はそれを茶化すように、よくベランダからトランペットを鳴らした。
「うるせぇよ!」
「はぁ?あんたのために吹いてんだから感謝しな」
亮太は口パクで「バカ」と言って、再び走り出した。
「さいかはいいなあ」
突然絵里がぼやいた。
「川瀬くんとこんなに話せるなんてさ。どうやったら話せるの?」
「さあ、分かんない。絵里みたいに意識してないし」
そういって我にかえった。
もしかして、私本気で意識してる?
視線の方向にある松本先輩の横顔。
他の先輩とは気楽に話せるのに。
しばらくぼんやりしていると、突然声が聞こえた。
「さいちゃん、音出しもう一回練習してみる?」
さいちゃん、ってごく一部の人しか呼ばないのに。
目の前で松本先輩が、私に笑いかけていた。
縮まる距離。これって、もう少し欲張ってもいいってことかな……。
私の中で期待が膨らんでいくのを、何となく感じていた。
私は松本先輩がいるトランペットに、絵里はフルートを選んだ。
自分で言うことではないが、かなりセンスはいいらしく、私はすぐに他の先輩たちとも馴染んだ。
音楽室からはグラウンドが良く見える。
亮太がボールを蹴っている姿はほとんど見ることなく、常に走っている。
私と絵里はそれを茶化すように、よくベランダからトランペットを鳴らした。
「うるせぇよ!」
「はぁ?あんたのために吹いてんだから感謝しな」
亮太は口パクで「バカ」と言って、再び走り出した。
「さいかはいいなあ」
突然絵里がぼやいた。
「川瀬くんとこんなに話せるなんてさ。どうやったら話せるの?」
「さあ、分かんない。絵里みたいに意識してないし」
そういって我にかえった。
もしかして、私本気で意識してる?
視線の方向にある松本先輩の横顔。
他の先輩とは気楽に話せるのに。
しばらくぼんやりしていると、突然声が聞こえた。
「さいちゃん、音出しもう一回練習してみる?」
さいちゃん、ってごく一部の人しか呼ばないのに。
目の前で松本先輩が、私に笑いかけていた。
縮まる距離。これって、もう少し欲張ってもいいってことかな……。
私の中で期待が膨らんでいくのを、何となく感じていた。
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