携帯小説!(PC版)

トップページ >> 恋愛 >> 時の流れに身をまかせ

時の流れに身をまかせ

[450]  阿部和義  2009-08-30投稿
「……あなたとは、結婚できないの……」

 彼女から別れ話を切り出されたのは、付き合って二年が経とうとしていた春だった。

 彼女は二人姉妹だったけれど、妹はまだ高校生だ。必然的に婿養子をとらなくていけないことになっていて、僕が長男であるがために両家の関係はうまくいっていなかった。

「そうか……。仕方ないよな」

 時間をかけて両家を説得していたのだけれど、僕たちの疲労は限界にきていた。こうするしか他に方法はないと悟っていたのに、なかなかその一言が言えなかったのだ。

 僕たちはしばらく俯いたまま、ただ時の流れに身をまかせていた。出会うのがもう少し遅かったのなら……。

 それから一年が経った。
 彼女は、職場の同僚と結婚したと風の噂に聞いた。相手は僕と同様に長男のようだ。
 あれから妹が卒業と同時に結婚して、婿養子をとったらしいけれど……。

感想

  • 19556: あー、素敵だー。思いが伝わって来る文章だあー:ゅゅ [2011-01-16]

「 阿部和義 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス