雨
あなたとまた逢った時は、
冷たい雨が降っていたのを
今でも覚えてる。
あなたは私に言ってくれた。
「君を心から愛したい」
私は心の中で、
どれだけ喜んだだろう。
でも私はあなたに、
とてもひどい事を、
言ってしまったね。
「私は……、
あなたなんかに、
愛されたくないの」
それを聞いて、
あなたは少し俯いて、
私の前から姿を消した……
これで良かったんだ。
これが正しかった道。
そう自分に言い聞かせて、
雨が降る冷たい道を、
独りで歩いた……。
確かあの日は、
雨が降っていたっけ。
彼女は悲しそうに俯いて、
僕の方を、
見ようとしなかった。
僕は彼女の気も知らずに、
勇気を振り絞って、
一言言った。
「君を心から愛したい」
心臓が高鳴った。
なんて返事をされるかな…
僕はもしかしたら、
彼女が、
はい、と、
言ってくれるかと、
どこかで思ってた。
「私は……、
あなたなんかに、
愛されたくないの」
それを聞いて、
やっぱりな、と、
思ってしまった。
顔を見られないように、
すぐに俯いて、
彼女の前から、
逃げるように、
僕は立ち去った。
それから僕は、
壁にもたれ掛かりながら、
独りで涙を流した……。
その日から、
五年の時が流れた。
運命はまた、
二人を巡り逢わせる……
続く
感想
- 19615: すごい楽しみです!期待…☆:ゅゅ [2011-01-16]
- 19723: 二人の気持ちが凄く分かりやすくなってます★凄い!沙愛 [2011-01-16]