僕らのこと?
ようやく1ヶ月が経ち、僕は何故かグラウンドを毎日走っている。
部活には入らないと決めていたのに、無理矢理僕の手を引っ張ったのは亮太だった。
理由はすぐに分かった。
いつもベランダの同じ場所で、唇サイズのラッパのようなものを吹いている。
音はぎこちなくて、でも必死に吹いている君の姿に走るのを忘れた。
そんな僕にニヤニヤしながら、亮太は蹴りとかを入れてくる。
「な?入って良かっただろ?サッカー部」
「だから、違うから」
「何が違うんだよ。俺は入って良かっただろって言っただけだし」
「お前、マジふさげんなよ」
こんなくだらないやり取りを、いつも繰り返すだけ。あの頃の僕にとっては、ただ見ているだけが精一杯だった。
でもある時、僕の心が思いがけず急かされた。
いつものように君が僕たちをひやかしてラッパを吹いていると、奥から3年生らしき男子が出てきた。
「あれさ、部長じゃねえ?吹奏の。しかも生徒会長やってんだ、確か。名前は…」
もう途中から、亮太の声は聞こえなかった。
僕の天使が、別の男子に見たこともない顔で微笑んだとき、味わったことのない劣等感みたいなものが、込み上げた。
部活には入らないと決めていたのに、無理矢理僕の手を引っ張ったのは亮太だった。
理由はすぐに分かった。
いつもベランダの同じ場所で、唇サイズのラッパのようなものを吹いている。
音はぎこちなくて、でも必死に吹いている君の姿に走るのを忘れた。
そんな僕にニヤニヤしながら、亮太は蹴りとかを入れてくる。
「な?入って良かっただろ?サッカー部」
「だから、違うから」
「何が違うんだよ。俺は入って良かっただろって言っただけだし」
「お前、マジふさげんなよ」
こんなくだらないやり取りを、いつも繰り返すだけ。あの頃の僕にとっては、ただ見ているだけが精一杯だった。
でもある時、僕の心が思いがけず急かされた。
いつものように君が僕たちをひやかしてラッパを吹いていると、奥から3年生らしき男子が出てきた。
「あれさ、部長じゃねえ?吹奏の。しかも生徒会長やってんだ、確か。名前は…」
もう途中から、亮太の声は聞こえなかった。
僕の天使が、別の男子に見たこともない顔で微笑んだとき、味わったことのない劣等感みたいなものが、込み上げた。
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