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ほんの小さな私事(83)

[296]  稲村コウ  2009-09-01投稿
高野さんとの電話は、そのあと、他愛ない話をして終わりとなった。
結局、山下さんに関する事は、最初だけしかせず、あとは、明日の事などについて簡単に話したのだが、なんとなく高野さんは、山下さんの事が気になっているのか、いつもの調子とは違っていた様に思える。
私自身も、山下さんの事は気掛かりだが、お互い、その話を避けて喋っていた感じだと思う。

電話での話がが終わった後、改めて食卓に戻り、少し冷めてしまった残りの夕飯を食べてしまうと、いつもの様に、藤沢さんに後片付けをお願いし、私は自分の部屋へと戻った。
まずは、明日の為に荷物を整理し、次に机に向かって、今日出された課題と、予習・復習を簡単に済ませる。
続けて、机の引き出しから日記帳を取り出すと、今日あった出来事を、簡潔に書き綴った。
あまりにも多々な事が有りすぎて、書いている日記も、いつも以上の文章量になっていた。
『本当に色々ありましたものね…。』
そう思いながら日記帳を机にしまい込むと、今度は、今日、学校の図書館で借りてきた、古ぼけた本を取り出した。
暫く、パラパラとページを捲り、内容を流し読みしてみたが、解読しつつ読まなければ、内容がさっぱり理解できない。
今日はさすがに、解読して読むほどの気力は残っていなかったので、私は、その本を閉じ、机の上に置いて、そのままベッドに、自分の身体を横たわらせた。

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