「summer time」 No.6
会社を後にしたその足でフラフラと電車に乗り、窓から見える景色をただ眺める洋人。
どこを目指すわけでもなく電車が向かう先に体をまかせた。
とある小さな駅で降りる洋人。
ジリジリと照らしてくる太陽がまぶしく、立っているだけで汗がにじんでくる。
上着を脱ぎ、駅の改札を抜けたあたりで携帯の着信が鳴る。
あゆみからの着信だった。
何度もあゆみからの着信があった。
一度も出ることのなかった電話にようやく通話ボタンを押す。
「もしもし。」
「洋人?何で連絡くれなかったの?心配してたんだけど…。」
「ごめん。」
「今どこ?」
「しばらく考えたいことあるからそっちには帰らねぇわ…。」
「え…?」
「心配しなくていいから。落ち着いたらまた連絡する。」
状況の分からないあゆみに説明することなく電話を切る。
駅前からタクシーに乗る洋人。
「海が見える所に行きたいんですけど。」
「はぁ。分かりました。」
バックミラー越しに見える洋人を不思議そうな目でチラっと見て車を走らすタクシーの運転手。
自宅へ向かう道を軽トラックで走る陽介。
防波堤にたたずむ人影が見える。
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