となりのあなた
たった一言。
どうしてつっかえてしまって、出てこないんだろう?
あと少し、あと少しなのに...
こんなわたしの気持ちも知らずに、隣りのあなたは寝ている。
こっちに顔を向けているから、寝顔が丸見え。
この瞬間。
わたしはしあわせなの。
だってあなたを独り占めできるから。
「…すき」
ありったけの勇気を振り絞って、小さく呟いた想いは、先生の声とチョークの音にかき消された。
予想通り何も反応がない。
安心した反面なんだかせつない。
わたしは仕方なく前を向いた。
「痛っ....」
その瞬間隣りからわたしの顔に紙が当たった。
紙を広げてみると
“ばーか
俺のが好きだし”
殴り書きのような文字。
隣りを見るとあなたと目が合った。
あなたはすぐに顔を伏せた。
だからわたしもあなたに向かって紙を投げた。
“ばーか
わたしのがスキだよ”
隣りのあなたは、今日からわたしの恋人です。
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