携帯小説!(PC版)

トップページ >> その他 >> チンゲンサイ。?

チンゲンサイ。?

[461]  麻呂  2009-09-02投稿

その日の夕食は、俺の嫌いな、チンゲン菜の炒め物だった。

『おい。ユキエ。
俺がチンゲン菜が食えない事、知ってるだろ?!』


妻は、少し苛立っていた俺の顔を、じろりと睨みつけた。


『あら?!そうだったかしら?!

嫌だったら食べないでください。後で片付けますから。』


少し膨れっ面の妻の顔を、今度は俺が睨みつける。


『まぁいい。今は、そんな事よりも、父さんからリョウとユウに話さなければならない事があるんだ。』


テーブルの向かい側に2人並んで座る、リョウとユウに、俺は毅然とした態度で言った。


いつもなら、夕食は各自バラバラの時間に済ませる事が多い我が家だが、


今日は珍しく、家族全員揃っていた。


『あ???何???
親父。もしかして、リストラの話?!

それなら知ってるよ。さっき会社の人が来てただろ?!』


リョウが、俺とろくに目も合わせずに言った。


『親父、リストラされたんでしょ?!

どうすんの?!

リョウ兄と俺、来年早々受験じゃん?!
大丈夫だよね?!』

弟のユウも、兄に続いて俺に不安な表情で尋ねてくる。


『あぁ。リョウ、ユウ。父さん実はリストラされたのではなく、自分で退職願を出して会社を辞めたんだよ。

進学の事は2人共、心配しなくていいから、安心して勉強しなさい。

父さんも、きちんと次の就職先の事は考えているから、心配しないでくれ。』


今の俺が子供達に言える言葉は、それだけだった。


とりあえずは、仕事を辞めた事を、きちんと伝えなければならなかったのだ。


『ふぅん。ならいいけど‥‥。』


『ご馳走様。』


俺の言葉を聞き、2人共、ひとまず安心してくれた様だった。


難しい年頃の息子達に、とりあえずは分かってもらえた事に、俺は少しホッとした。

感想

感想はありません。

「 麻呂 」の携帯小説

その他の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス