あなたがいるだけで。?
夜、ベッドに横になりながらあの時のことを思い返す。
『廣瀬さん』
私の名前、呼んでくれた。
私のこと、知っててくれた。
布団をギューッと強く抱きしめる。
嬉しい!
ツンとした油絵の具の匂いが、私にとっては心地いい。
「なに描くか決めたんだ」
花が私に声を掛ける。
「うん。決めた」
「何描くの?」
「内緒。見てれば分かるよ」
「なによソレ〜っ」
ぶうっとふくれた花をよそに、描き始める。
下書きもなく、描き始めるのは初めてだ。
でも下書きなんてなくても平気。描ける気がする。
「優、楽しそう」
ふくれていた花が優しい笑顔で私にそう言った。
帰り道、夕焼けが綺麗だ。濃い朱色と青空の薄い水色とのグラデーションがとても綺麗。あんな色が表現できたらいいのにな… なんて考えていたら
「廣瀬さん?」
この声…
振り返るとそこには大嶋くんがいた。
「あ、あ、おつかれさまですっ」
突然の出来事に焦ってしまい、また訳のわからない言葉を発する。
「おつかれさまです。廣瀬さんも部活帰りですか?」
「は、はい」
「俺もです」
「あ、あのっ」
深呼吸して、気持ちを落ち着かせ、私は言葉を口にする。
「ま、前に、大嶋くん県の書道大会で金賞取りましたよね?あの長い半紙のやつ…。廊下に飾られてるの見ました。すごいです。おめでとうございました」
ずっと大嶋くんを見てきた。書道部の大嶋くんが書道の大会で何度も入賞する度に、自分のこと以上に嬉しかった。おめでとうございますって言えたらって、ずっと思っていた。今、やっと言えた…。
きょとんとしている大嶋くん。なんだか恥ずかしくなってきて俯いた。だんだん顔が熱くなるのが分かる。心臓がバクバクする。
「ありがとうございます。」
顔を上げると、嬉しそうに笑っている大嶋くんがいた。
「………」
なんて顔するんだろう。この笑顔をずっと見ていたい。この笑顔が見ていられたら、私すごい幸せだ。本当に心からそう思った。
続く
『廣瀬さん』
私の名前、呼んでくれた。
私のこと、知っててくれた。
布団をギューッと強く抱きしめる。
嬉しい!
ツンとした油絵の具の匂いが、私にとっては心地いい。
「なに描くか決めたんだ」
花が私に声を掛ける。
「うん。決めた」
「何描くの?」
「内緒。見てれば分かるよ」
「なによソレ〜っ」
ぶうっとふくれた花をよそに、描き始める。
下書きもなく、描き始めるのは初めてだ。
でも下書きなんてなくても平気。描ける気がする。
「優、楽しそう」
ふくれていた花が優しい笑顔で私にそう言った。
帰り道、夕焼けが綺麗だ。濃い朱色と青空の薄い水色とのグラデーションがとても綺麗。あんな色が表現できたらいいのにな… なんて考えていたら
「廣瀬さん?」
この声…
振り返るとそこには大嶋くんがいた。
「あ、あ、おつかれさまですっ」
突然の出来事に焦ってしまい、また訳のわからない言葉を発する。
「おつかれさまです。廣瀬さんも部活帰りですか?」
「は、はい」
「俺もです」
「あ、あのっ」
深呼吸して、気持ちを落ち着かせ、私は言葉を口にする。
「ま、前に、大嶋くん県の書道大会で金賞取りましたよね?あの長い半紙のやつ…。廊下に飾られてるの見ました。すごいです。おめでとうございました」
ずっと大嶋くんを見てきた。書道部の大嶋くんが書道の大会で何度も入賞する度に、自分のこと以上に嬉しかった。おめでとうございますって言えたらって、ずっと思っていた。今、やっと言えた…。
きょとんとしている大嶋くん。なんだか恥ずかしくなってきて俯いた。だんだん顔が熱くなるのが分かる。心臓がバクバクする。
「ありがとうございます。」
顔を上げると、嬉しそうに笑っている大嶋くんがいた。
「………」
なんて顔するんだろう。この笑顔をずっと見ていたい。この笑顔が見ていられたら、私すごい幸せだ。本当に心からそう思った。
続く
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