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夏の男(2)

[536]  安藤  2009-09-03投稿
 警備員と話しながら、ひととおり病院内を歩いて回った。なるほど警備員の言った通り、ここでは患者が自由に行動している。歩きまわる者もいれば、ある者はひなたで眠そうにうとうとしている。それでもここはあくまで精神科の病院である。警備員は時節、不安気な表情をした。
 病院内をひととおり回り終えると、警備員室に通され、そこで一服した。警備員「いや、お疲れさまでした。よい記事は書けましたかな?なかなか自由のきく良い空間でしたでしょ?」男はやはり微笑を浮かべながら「はい、ここの環境はすばらしい。これで私も・・・」
 男の話をさえぎるように、廊下から騒ぎ声が聞こえた。「わはあああー、わはあああー、た・い・へ・ん・・・やあああああ、所長さんが、所長さんが死んどるうあ。さっき来た記者も死んどる、、、来賓、、、の部屋で死んどるうああ」
 それを聞いた警備員はギクッとした。『所長が殺された?記者といっしょに・・・ではこの男は・・・』男はまた微笑を浮かべて警備員を見つめていた。  夏の盛り、聞こえるのはセミの声だけ・・・・・・

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