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蜜の誘惑

[582]  ぽち  2006-07-29投稿
時は現代。
真夜中なのに都会では人が絶えず賑やかだ。
そんな街に隼人は暮らしていた。
高校に通っている学生ながら毎晩友人とグループをつくり、朝方まで遊んでいるのだ。

―昨夜、〇〇県〇区で連続死体遺棄事件が発生…ー

「うわぁ、またこの事件かよ。相変わらず酷いことするなぁ」
ビルにある巨大スクリーンに流れるニュースを見つめ隼人は呟く。

「は?何のこと?」とヘラヘラした調子で周りの友人らがタバコをふかしている。
「お前この事件知らねぇのかよ!殺された死体を犯人が口でブッチブチに噛みちぎってんだぞ!!恐くねぇのかよ」

「へぇ〜そりゃ世も末になったもんだ。
っていうよりそんな事件あんた以外ここはみんな気にしてない事の方が俺にとっちゃ怖いけどな。」
笑いながらタバコの灰を落とす友人の姿に隼人もつられてヘラヘラと笑い返す。


そう、この国はおかしかった。

テレビをつけると残酷な事件が幾度となく流れ、犯罪件数もここ数年で激増していた。

しかし人はそれに怯えるどころか、感情が麻痺してしまい感心を示すことすらしなくなった。


勿論、隼人もそんな人間の一人だった。

「でも俺この事件だけは何か別のものを感じるんだよなぁ。
他人事じゃないというか…」

「じゃあ次の被害者隼人だったりして」

「げーっ!!でも俺美人な女なら食べられてもいいかも…」



そしてまだ空が明ける前にグループは解散した。

ここから隼人の物語が始まる…―\r

―続く―

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