携帯小説!(PC版)

トップページ >> 学園物 >> ほんの小さな私事(87)

ほんの小さな私事(87)

[321]  稲村コウ  2009-09-05投稿
教室には、朝練ができなくなってしまった面々が居る分、賑やかになっていた。
私たちは、荷物を自分の席に置くと、すぐさま、隣のA組の教室へと向かった。
まず、扉から、中を覗く。山下さんの席は、外に面した窓際の中ほどにある。
「来てない…みたい。」
高野さんは、教室を見渡した後、そう言った。
私も、教室内と、廊下を見てみたが、山下さんの姿は、どこにも見つける事ができなかった。
暫くして、教室を覗いている私たちの元に、一人の男子生徒が近付いてきた。香取君だった。
香取君は、私たちに手を振って挨拶したあと、溜め息を吐きながら言った。
「山下さんは、まだ来てない…。僕、少し早めに来て、図書館の辺りとかを捜してみたけど、やっぱり山下さんはどこにも居なかったよ…。」
「そうなんだ…。私もあの子の家に寄ってったけど、カズちゃんのママさん、まだ帰って来てないって言ってた。」
そんな風に話をしていると、ちょうど、教室に入ってきた女子が、私たちの会話に反応して口を挟んできた。
「山下さんがどうしたの?私さっき、下駄箱の所で見かけたよ。」
「えっ?」
その言葉に私たちは、耳を疑った。
「下駄箱?どこの?」
香取君はそう、詰め寄る勢いで彼女にそう問うと、その彼女は、勢いにたじろぎながら答えた。
「ど…どこって…A組の下駄箱の所に決まってるじゃない。」
「わかった!ありがとう!」
香取君はそう言うと、即、教室を飛び出した。一方、その彼女と私たちは、呆然とそれを見ていた。
「な…なんなの?一体?」
訳が判らないといった表情の彼女。それに対し、高野さんが、苦笑いしながら答えた。
「ちょっと…色々あったのよ。とりあえず、情報ありがと。」
その言葉のあと、高野さんと私は、それぞれ頷きあって、香取君のあとを追いかけた。
取り残された彼女は、それを見送りながら、ただただ、ポカーンとしていた、

感想

感想はありません。

「 稲村コウ 」の携帯小説

学園物の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス