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あなたがいるだけで。?

[442]  ゆう  2009-09-06投稿
大嶋くんと私は近くの公園のベンチに腰をおろした。
大嶋くんの隣、少しだけ間隔をあけて座る。
ちゃんと足を揃え、両手は膝の上に重ねる。
緊張からか肩は上がりっぱなしだ。

暖かい風が頬をなでた。
公園にたくさん咲いていた桜も今はすべて散ってしまい、代わりに新緑の緑が碧々と生い茂っている。

軽く息を吐き、気持ちを落ち着かせる。


「話したいことがあって…」
大嶋くんが口をひらく。
「は、はい」
緊張のあまり声が裏返ってしまった。
「木村の事なんです」

ズキッと胸が痛んだ。
「余計な事かもとも思ったんですが…最近あいつ元気なくて」
「………」



木村くん。3年になってから同じクラスになった。席が近くて、よく声を掛けられていた。
桜が散り始める頃、木村くんに告白された。
2年の頃から好きだった、付き合ってほしい、と。
私は断ろうとしたが言葉を遮られてしまい、少し考えてみてほしいと言われた。
あれから返事できず2週間が経とうとしている。
木村くんはそういえば書道部だった。
でも大嶋くんと仲良かったなんて、全然知らなかった。


「…木村くんにはちゃんと返事しなきゃって思ってます…」
か細い声、でも少しふてくされたような声だったかもしれない。
私はずっと大嶋くんの顔を見ることができず俯いている。
「木村、すごいイイ奴ですよ。明るくて、誰に対しても優しいですし。ああ見えてすごい真面目なんですよ」
大嶋くんが穏やかな笑顔で言った。

大嶋くんは私の気持ちを知らないんだから仕方ない。
知らないからこんな事を私に言うんだ。
分かってる。
分かってる…
だけど…


「私、木村くんとは付き合えないから…」
俯きながら、またか細い声で言った。
暖かい風が吹いて、木々を揺らした。
「え?何ですか?」

「私、他に好きな人がいるんですっ…」

そう言い捨てて、私は走ってその場から逃げた。





続く

感想

  • 20595: 続き楽しみで−す・シャイン [2011-01-16]

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