うつぶせに倒れた男の傷口からは、大量の血のような物が流れていた。それは、赤色の血ではなく黒色の暗い血の色だった。
「あの〜あの人は、人間だよね？君は殺したのもしかして…しかも血が黒い？」
「安心しなさい。あれは、人間ではないわ。それに、私が殺したのではなく、この場合あなたが殺したことになるわよ」
「あ、そうかって…ええ〜」たまらず声を上げ、俺は彼女に今まで体を操られていたことを思い出す。
「解呪」と彼女は言うと俺の体が、自分の意志で動かせるようになった。
　勿論こんな気味の悪い指輪を外そうと左手で小指にはめられた指輪を引っ張った。だが、全然びくともしなかった。
すると、指輪から声が聞こえてきた。
「あなたじゃ外せないわ。それに無理に外そうとしたら、あなたの小指切断してあげてもいいのよ」
「え…」俺は、切断という恐怖のあまり外す作業を止めた。
「私の体が、元に戻るまで指輪はそのままよ」
「 元の体…そんな…君は人間だったの？」
「そ、そうよ。この世界の人間ではないけどね。指輪になったのは仕方がなかったのよ。あれは思い出したくもないわ」
「あのスーツ姿の男は何なの？」色々彼女には疑問があったけどまずあの男につが気になった。
「あれは、ディアーガが稀に進化した形」
「デ、ディアーガ？」
「そう。普通のディアーガは人の感情が極限に負になった時、例えば激しい憎悪とか欲望とかね。その時に他次元で生まれる生物のこと。そして、生まれた彼らは生みの親つまり負の感情をもった本人を探し出す」
「何のために探すの？」
「人間の体を自分の者にするためらしいけど…詳しくは、私もよくわからないわ」
「それで、あの男性は進化したっていったけど…」
「ディアーガは、稀に進化した形で生まれるの。進化したディアーガは容姿が人間の形になって、発達した知能や理性をもつようになるの」
「じゃ、さっきの闘いの時あの男が黒い霧のようなものから武器を出したのは、何かの能力なの？」
「そうね、多分。召還能力みたいなものかしらね。進化したディアーガは、不明な点がまだまだ多いのよ」意味深に彼女が語る。
俺は、未だ現状の整理がついていなかったし、これは夢ではないかと思った。信じられる話ではないし…
「と、ところでどうして君は、あの男に追われていたの？それに君はこの世界の人間ではないって、……え！！」

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