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僕らのこと?

[182]  武津ほずみ  2009-09-08投稿
あの噂を聞いて以来、部活にも顔を出さなくなった。
ベランダに君の姿を見るのが、今は辛い。

噂が噂を呼んで、学校中がその話で持ちきりの頃には、君とあいつは大っぴらに一緒に帰り始めたりした。
僕の絶望した日々は、君のせいで酷くなる一方だった。

「ただいま」
玄関からつながるやたらと長い廊下を、ヨチヨチと音葉が歩いてくる。
「兄たんおかあり」
言葉がまだうまく形になっていなくて、ようやく僕も最近何を言っているのかわかり始めた。

音葉を抱き上げてリビングに向かうと、そこには1カ月振りに見るあの人の姿があった。
「久しぶりだな」
「はい。お久しぶりです、父さん。タイの視察はどうでしたか?」
「どうでしたか、ではなく、いかがでしたか、だ」
「申し訳ございません。いかがでしたか?」
「まずまずと言ったところだ。それよりも一馬、一緒に書斎へ行こう」

嫌な予感がした。
胸焼けがして、吐きそうになった。
あの人が軽々と開けた書斎の扉は、まるで映画のワンシーンのように、重々しくゆっくり閉まった。
そして僕があの人に向き直った時、いつもの拳が一寸のズレもなく、僕の頬をとらえた。
僕はそのまま倒れて、気を失いかけた。

この人こそ、この人こそが、僕にとって何よりも耐え難い「絶望」そのものだった。

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