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消えた30の瞳 ?

[406]  内田俊章  2009-09-09投稿
 尾根から100mも下っただろうか?

 矢口は手に持っているポールを、スルスルと伸ばした。

 そして、5mにもなるそのポールを、一気に突き刺した。

 ところが、2・30cm位しか刺さらない。

 「えっ?変だぞ」

 矢口は首を傾げ、父親の地図を広げた。

 「どうか、したか?」

 野崎も矢口の傍へ来て、地図を覗き込んだ。

 改めて見ると、古い雪渓と新しい雪渓の境目の線が、真っ直ぐ下まで延びている。

 矢口が今、ポールを突き刺したのは、境目の線よりも、10mも西側で、新しい雪渓のはず。

 それならば、何故刺さらないのだろうか。

 「オヤジの地図が、間違っているのか?」

 『斉藤隊長だ!』

 2人は同時に、その名前を口にした。

 斉藤は、矢口の父親に同行して、地図の作成に携わっていた。

 ところが、頑固で融通の利かない矢口のやり方に、うんざりしていた。

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