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迷想

[148]  コトミ  2009-09-09投稿
病室を出た瞬間、私の足が止る。

今思ったけど、自販機って何処…?

よく周りも見ずにただ父の後を追って病室に来た私にとって、一人で飲み物を買いに行けと言うのは無理に等しい。
仕方無く私はもう一度病室の中に戻る。

「あれ。どうした舞衣。やけに早いな。」

「いや…。自販機の場所が分かんなくて。」

不思議そうに聞く父に対して、私は申し訳無さそうに答える。

「自販機は無いけど、小さい店なら一階の出入口の所にあるよ。」

「分かった。アリガト。」

苦しそうな顔をしながらも、母が優しく答える。
私は笑顔でお礼を言い、勢い良く病室を出る。


「たく。場所知ってんなら、始めに言ってよ。」
病室から店に向かう途中、一人で愚痴を言う。

必ず私は、むかつく事があるとすぐに愚痴るタイプ。
さすがに相手の前で愚痴った事無いけど…。

ブツブツ言ってる間に、気付けば私はエレベーターの前に立って居た。

「え〜と…一階…だよね?」

誰に聞いてる訳でも無く、誰も居ないエレベーターの中で私は独り言を言う。
それから私はボタンを押し、一階に着くのを待つ。


チーン…。

エレベーターが着くのと同時にドアが開く。

それから私は出入口に向かって歩き出す。

「えっ…ここ…?」

店の前に着くと、そこには店と言うより、高校とかによくありそうな売店が一件、受付の近くに建っていた。

私はとにかくお茶を買い、すぐに病室へと向かう。

「お帰り。」

「ただいま。」

病室に戻ると、母の顔色が少しだけ良くなっていた。

父の方は、ベットの近くにある椅子に座り込み、何か考え事をしているかの様に、気難しそうな顔をしている。

私は背負っているランドセルを降ろし、買って来たお茶を一口、口に含んだ。

「…雅の事、教えて。」
さっきまでの空気が、私の一言で変わる。

「良い?落ち着いて聞いてね?」

「うん。」

私は緊張の中、生唾を飲み込んだ。

さっきまで潤っていたはずの喉が、一気に乾いていった。

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