携帯小説!(PC版)

一角聖獣4

[402]  トリップ.Bank  2009-09-11投稿
 孤児院を出ると、そこには荷馬車が停まっていた。立派な馬ではなかったが、手入れのされた良い馬だった。後ろの荷台には、空っぽの木箱が積み上げられていた。
 何の仕事をしているのか聞きたかったが、孤児院での噂を思い出し、聞きたくなくなった。
 僕はこれから殺されてしまうんだ。何しているかなんて関係無い話だ。
「名前は?」
 不意にバフが尋ねてきたので、僕は震える声で答えた。
「…ヨークだよ。ただのヨークだ」
「変な名前だな。喋り方も男みたいだが…女の子だろ?」
「…うん」
 女の子だったら何なのだろう。バフの言葉に疑問を感じたが、どうせ単なる余興か何かかと思った。
 話が途切れるとバフはヨークを荷台に乗せた。
「ヨーク、これからお前の仕事場に向かう」
 されるがまま、ヨークはガタガタ揺れる荷馬車に乗って、僕の新しい仕事場に向かった。
 この無愛想な殺人鬼と一緒に。

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