携帯小説!(PC版)

A Place To Die

[257]  2009-09-13投稿
君ガクレタ1枚ノ羽ガアレバ
僕ハ空ヲ翔ベル

彼女と別れた場所から西へ約50kmと

言ったところか、

雪の中を漕いで行くと町の光が見えた。

噂にさえ聞いた事の無いような町
――とは言っても、そんな町はこの世界に

いくらでもあるのだか――

その中に、騒ぎを起こさない様に、

漆黒のコートを脱いで入った。

(前の町みたいな事は二度と御免だ)


「すみません。この町は初めて

なんですが、入れて頂けますか?」

守衛に話しかけると、酷く心配そうな目で

俺を見る。

「そんな軽装備でここまで来たのか?

よくやるよ。冷えたろ?中に入りな。」

案内された守衛室の中には、

火の消えかかった暖炉と、

長い間使われた痕の無い武器だけが

あった。

それでも外よりは随分暖かかった。

「すぐ暖めるから。・・・・・・何か

暖かい物でも出そうか。」

「すみません、ありがとうございます。」

目の前に湯気を上げるスープが出される。

いただきます、と言って

ゆっくりすすった。

死んでから初めての食事。

胃に届く温かさに、彼女の手の温度を

思い出していた。

湯気越しに守衛を見る。

「あまり、武器は使わないんですか?」

「ああ、幸いにもこの町は

ノーマークでね。一年のほとんどが

吹雪いていて、周りからは見えないから。

・・・・・・君の町は、やられたの?」

「いえ、そんなことは・・・・・・。」

そこまで言って、少し躊躇する。

帰る家が無いのは同じだ。

「まあ、とにかく、生きてここまで

辿り着いた事を、神に感謝しよう。」

「神、ですか?」

「そう、神。この町の創始者。

戦闘にも長けていて、この町を見つけた

魔物は決して逃さない。

今日僕らが生きているのも、

あの人のおかげだよ。」

「神、ね・・・・・・。」


町は静かだった。外の吹雪も

入ってこない。この町の人の癖だろうか、

皆静かに、ゆっくりと喋る。

幸せを享受する者にのみ

与えられた笑顔で。


宿に入る。金は無い。

でも、宿の女主人は、

こんな白い顔して、寒かったろ、

泊まっていきな、と言ってくれた。

顔が蒼白なのは、血が通わないから

なのだけど。

感想

感想はありません。

「 崚 」の携帯小説

ファンタジーの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス