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キャッチボール 第48話〜束縛 2〜

[377]  るー6  2009-09-13投稿
健也が部屋へ入ってきた。手には包丁。
「ふざけるのもいい加減にしろ。」
「…!」
「死ね。」
その時、
インターホンが鳴った。
「来たな。」
窓から覗くと龍吾がいた。
「健也。オレだけど。」
返事がない。
「オレだけど!龍吾だけど!」
扉を開ける様子もない。
「くそ。健也が何かみーくんにやらかしてんだな。」龍吾は無理矢理扉を開けようとする。でも開く訳がない。
「…しょうがないねぇ。今開けるよ。」
健也が出ていく。自分の部屋の扉の前に、重い鉄骨を何個も置いて。
僕は、いくら扉に体当たりしても、脱出はダメだと、音で分かった。
そこで僕は気を失った。

「…入っていいよ。」
「みーくん、みーくんは。」
「うるせぇよ。」
「ん…?ここ…」
龍吾は、いかにもおかしい部屋を見つけた。
「おい!ちっと勝手に部屋上がんなよ!」
「おい…ここは。」
「……」
「ここに…みーくんがいるんだな。さっきみーくんから電話が来たよ。助けろと。」
「……」
「お前、みーくんに何かしたろ?」
「あぁ、その部屋に束縛してるよ。」
「もうこれは束縛じゃねぇよ。監禁だ。ここにいるんだな。」
「…あぁ。勝手にしろ。」すると、扉の先から人が倒れる音がした。
「みーくん…」
龍吾は、重い鉄骨をどかし始めた。
それをみていた健也は、力が抜けたようにその場に崩れ落ちた。
「友情って…自分を犠牲にしてでも守っていくものなのかよ」
「お前も…どかすの手伝え。」
「1人でやれよ。」
「あっそ。」
そっけない会話がそこにはあった。
以前は、とても仲のいい友達だったのに…
僕のせいだったよ。健也の言うとおりだった。

僕は部屋で気を失っていたが、夢の中でそう思っている自分がいた。
「ぐあっ。」
「よいしょ。」
と言った龍吾が頑張っている姿が部屋に響いているが、僕には届かない。
何も…届かなかった。

ようやく最後の鉄骨をどかして、扉を開けた。
その光景を見て、龍吾は絶句した。
今まで出したことないような声で、
「みーくん!」
龍吾の体が小刻みに震える。
「よくもみーくんをここまでやってくれたな。」
「……」
「何とか言え!」
「オレは…龍吾がかわいそうだった。それはあの喧嘩だろうとオレは思ったんだ。だから…」
「…大体分かった。」
龍吾はゆっくりとロープを外していく。僕はまだ、気を失ったままだ。
「もうお前は信じない。」

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