屋上の秘密2
男はついに屋上のひとつ下の階、ビルの最上階に辿り着いた。
その時すでに、男の意識は朦朧としていた。
男は激しく痛む胸を右手でおさえ、何度か倒れそうになりながらも前に進んだ。
それから男は、屋上へと続く階段を這うように上っていった。
屋上には、白い衣を全身にまとった天使が立っていた。
「あなたも、愚か者ね…。自分から天まで昇ってくるなんて。でも、まあ、いつも死者をここまで運んでくる私にとっては大助かりで嬉しいのだけどね」
男のいる屋上は、雲の上にあったのだった。
「く、くすり…」
男は最後の力を振り絞るように、なんとか声を発した。
天使は男を見下ろしながら、冷たく言い放った。
「くすり?そんなものここにはないわよ」
「………」
「あっ、でも…」
天使が何か言いかけた時、男はすでに死んでいた。
ついに、癌が男にとどめを刺したのだ。
男は、そのまま生きていようと、このビルに上ろうと、結局は死ぬ運命だったに違いない。
死に際、男は後悔していた。
おばあさんの所で休んでいれば、もう少し長く生きられたかもしれない…
屋上まで来なければ死ななくて済んだのだろう…
人生、焦って急ぐと、良いことないな…
噂なんて信じるんじゃなかった…
と。
天使は、ありもしないクスリのために苦労し、自ら天に昇って死んでしまった愚かな男を見て、嬉しそうに呟いた。
「でも、私の笑顔ならいくらでもあげるわよ」
それから天使は、死んだ男を見つめて、
“クスリ”と笑った。
その時すでに、男の意識は朦朧としていた。
男は激しく痛む胸を右手でおさえ、何度か倒れそうになりながらも前に進んだ。
それから男は、屋上へと続く階段を這うように上っていった。
屋上には、白い衣を全身にまとった天使が立っていた。
「あなたも、愚か者ね…。自分から天まで昇ってくるなんて。でも、まあ、いつも死者をここまで運んでくる私にとっては大助かりで嬉しいのだけどね」
男のいる屋上は、雲の上にあったのだった。
「く、くすり…」
男は最後の力を振り絞るように、なんとか声を発した。
天使は男を見下ろしながら、冷たく言い放った。
「くすり?そんなものここにはないわよ」
「………」
「あっ、でも…」
天使が何か言いかけた時、男はすでに死んでいた。
ついに、癌が男にとどめを刺したのだ。
男は、そのまま生きていようと、このビルに上ろうと、結局は死ぬ運命だったに違いない。
死に際、男は後悔していた。
おばあさんの所で休んでいれば、もう少し長く生きられたかもしれない…
屋上まで来なければ死ななくて済んだのだろう…
人生、焦って急ぐと、良いことないな…
噂なんて信じるんじゃなかった…
と。
天使は、ありもしないクスリのために苦労し、自ら天に昇って死んでしまった愚かな男を見て、嬉しそうに呟いた。
「でも、私の笑顔ならいくらでもあげるわよ」
それから天使は、死んだ男を見つめて、
“クスリ”と笑った。
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