携帯小説!(PC版)

トップページ >> ホラー >> 百発百中の男

百発百中の男

[1282]  阿部和義  2009-09-16投稿
 あと10分ほどで真夜中になるという時間帯に、私は特急電車に乗っていた。
 やがて、途中の駅で一人の男が乗り込んできた。その男は、電車のドアが閉まると、突然我に返ったように乗客の顔を見回し始めた。
「すみません。あなたの年齢は28歳ですか?」
 男が私に話しかけてきた。
「そうですが、どうしてわかったんですか」
 私が聞き返しても男は無視して、また別の人に話しかけた。
「あなたの年齢は45歳ですか?」
「そうですけど……」
「あなたは62歳ですね?」
「どうしてわかったんじゃ?」
 そんなやり取りを繰り返していく。どうやらその男には、顔を見ただけで年齢を当てる特殊能力があるらしい。
 次の停車駅までは、まだ15分以上ある。私を含め、乗客たちは全員その男に注目し始めた。
「あなたは50歳ですね?」
「そうですが、あと5分で日付が変わると、51歳になるんですよ」
 最後に質問された女性は、笑顔でそう答えた。年齢を当てていた男の顔が、その途端に青白くなった。
「凄いですね。百発百中じゃないですか」
 私は再び男に話しかけてみた。すると、男は青白い顔を私に向け、小刻みに唇を震わせながら、こう言った。

「……私が見えているのは、あなた方の寿命なのです」

感想

  • 21619: 事故る? [2011-01-16]
  • 21622: そういうコトですよね。上手い〜!(脱帽)遥花 [2011-01-16]
  • 21657: 全力で拍手です!!明 [2011-01-16]
  • 21746: えええ!?驚き…流石阿部和義さん:ゅゅ [2011-01-16]
  • 21748: 本当にスゴイと思います!!えり [2011-01-16]
  • 21872: 昔日本人の殆どの人が見えてたのは有名。 [2011-01-16]
  • 25802: ↑こいつ馬鹿じゃね? [2011-01-16]

「 阿部和義 」の携帯小説

ホラーの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス