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あなたがいるだけで。?

[271]  ゆう  2009-09-17投稿
何か…しゃべらなきゃ。
そう思うほど、言葉が出てこない。
言葉が浮かばない…。



「廣瀬さん…」
大嶋くんが、沈黙を破る。
「この間は、すみませんでした。僕が口を出す事じゃなかったですよね。本当にすみません…」
私の方を向いて、大嶋くんが深々と頭を下げる。
「そんな…そんな事ないよ。だって大嶋くん、木村くんのこと心配して、私に声かけてくれたんだもん。謝ること何もないよ」
「でも…避けられてる…気がしたから…」

ドクンッ

…大嶋くん 気づいてたんだ。


「避けてなんか、ないよ。最近、絵の方が進まなくて…」
「本当に?」
「本当に」


沈黙…。



「よかったです」
大嶋くんがホッとしたように笑顔を見せる。

私も笑顔を見せる。



自分の気持ちが変わってきているのが分かった。


大嶋くんと話せるだけで幸せ。
大嶋くんが私を見てくれるだけで幸せ。
大嶋くんの近くにいられるだけで幸せ。

…なんて。もう無理かもしれない。

私の気持ちを知らずにいる大嶋くんの言葉が、こんなにも、苦しい。
気をゆるめたら、泣き出してしまいそう。

今までずっと遠くから見つめているだけだった。
今はその時よりも、苦しい。

前のようには戻れない。
戻れない。


私の気持ちを大嶋くんに知ってほしい。





続く

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