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DRAGON LOVER 32

[463]  木村蜜実  2009-09-18投稿
DRAGON LOVER 5章





紅葉が見ごろになる。

秋がきた。

あれからライアンは、奈々ちゃんと暮らしている。
ばあさんが、渋々人間界で暮らしてもいいと言ったからだ。

奈々ちゃんの母親モイライは、弟の秀明(ひであき)を連れ、魔界へと出掛けた。
ホントの魔界人にする為に………。

エリンは、あれ以来心の底から笑わなくなった………。
僕は、エリンを笑わせる為に必死だった。
でも、何をしても笑わない…。



「ハーン…。」
久々にエリンから話かけてきた。

「なんだ?」

「お台場行こっか…。」

出掛けようとエリンが言った…。
エリンの手を握り、爽やかな風に吹かれ、僕等はお台場へと出掛ける。

エリンは笑顔で買い物をする。
笑顔だけど、どことなく寂しい…。

いろんな物を食べ、いろんな物を見て、気分を紛らわす。
僕には何も言わないけど、多分不安で一杯なんだろう…。

気づいたら、もう辺りは暗くなって、ビルの明かりが綺麗に輝く。

「観覧車乗ろうよ♪」
僕に笑いかけて腕を引っ張る。
いつものように、微笑んで…。

果てしなく広がる夜景に、ぼんやりと眺めるエリン。

「あたし…。守れるかな…。」

外を眺めながらポツリと呟く。

「あたし…。不安で…お祖母様もいなくなったら…。」
たまっていた不安を、我慢できずに溢れさせる。

「泣くな…。大丈夫…。俺がいる。俺が必ずそばにいるから…。」

「あたし、ハーンに迷惑かけてばかりかも…あたしは…もう…。」
泣き叫ぶエリンを僕はギュッと抱きしめる。

「俺じゃダメなのか?」

頬に手を当て、エリンを見つめる。
エリンは僕を見つめ返す。

「信じられないか?俺が…。」

「ちが…信じてる…。信じてるよ…。」
横に首をふる。

「ハーンの事信じてるよ。でももし、ハーンまで消えてしまったら、あたしはどうしたらいいのよ!!」
少し興奮して当たり散らす。
エリンの腕を掴んで

「俺は消えない!だから、余計な事考えるな!!」
腕の力が段々と弱くなる。

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