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チンゲンサイ。?

[402]  麻呂  2009-09-22投稿

しかし、ユウのあんな反抗的な態度は初めて見た。


やはり、これも仕事を辞めた俺のせいなのか。


思い起こせば、リョウがユウと同い年の時には、こんな事は1度も無かった。


ユウと比べて、少し要領がいいリョウは、反抗期さえも、うまく通り抜けて来たのかもしれない。


それは、来年の大学受験を推薦入学と言う形で、本人が希望している事からもうかがえた。



『あなた、夕食の支度が出来ましたよ。』


内心、夕食を作る心境ではなかったはずの妻が用意してくれた料理は、


皮肉にも、ユウの大好物のカレーだった。



『今日のカレーは、味が薄いな。』



『そうですか?!いつもと同じに作ったんだけど‥‥。』



夫婦2人きりの夕食なんて、何年ぶりだろう。


いつも、家族4人共、バラバラの時間に済ませる夕食に慣れていただけに、


その時間は、俺達夫婦にとって、何とも言いようのない不思議な感覚となった。


『ただいま。』



玄関のドアを開ける音がして、帰宅したのは、リョウかと思われたが、


なんと、その後ろには、ユウも一緒に立っていた。



『ユ‥ユウお帰り。
今日は、あなたの大好きなカレーを作ったから、たくさん食べなさい。』



妻は、ついさっき、たんかを切って、外へ飛び出した我が子が心配だったと見えて、


真っ先にユウにそう言った。



『近くのコンビニ寄ったらさ、偶然ユウに会ったから、一緒に帰って来たんだ。
なっ?!ユウ?!』


リョウは、膨れっ面をして立っている弟を気遣ってみたようだが、


どうやら、ユウの機嫌は直っていない様だった。


俺も自分の息子に、あの様な暴言を吐かれ、内心穏やかではないはずなのだが、

言われた言葉を思い返してみれば、


ユウの言っている事も一理あるのかもしれないと思った。


ユウにしてみれば、父親が真っ昼間の公園で、


1袋50円のパンの耳をかじりながら、新聞を読んでいる姿など、


決して見たくはないはずだった。

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