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勇気のジャンプ 2

[206]  保田竜男  2009-09-24投稿
 「す、すごいっ。シン君だって4段目が限界なのに…あっ、僕、勇太。えっと君は?」

 その女の子はニッコリ笑うと、
 「私は夢香(ゆめか)よ。ところでユウタのユウは、勇気の勇?」
 と聞いた。

 「う、うん(なんで家の親はこんな名前付けたんだよ!)」
「ヘ〜ピッタリな名前だね。」
「へ?…ああ、もっと勇気を付けろって意味なら、ピッタリだね…」
「ちがう〜」
 勇太は、夢香にいきなり両手でほっぺたを押さえられ、夢香の顔が、どんどん近づいてくる…
…バクバク…心臓の音が聞こえる。
勇太は「な、なに?」と、
裏返った高めな声で聞いた。

「勇太君は私なんかより、勇気あるよ。」

「へ?どこが?一段目に上るのも怖いんだよ。」

 夢香は勇太から手を離し、再び五段目まで上ると、そこに腰掛けながら
「勇気ってさ、怖いものや強いものに立ち向かう ‘心,の事だと思うよ。
 私や皆は怖いって思ってないから…よっと…」 そのままの姿勢で飛び下りてこう続ける
「…飛べるのよ。だからシン君って子も、五段目は怖いから挑戦しないんじゃない?…でも勇太君は違う。頑張って怖い物に立ち向かってるもん。凄く勇気があると思うわ。」
 「夢香〜、帰るぞ〜。」  「あっ、パパだ、行かないと…じゃあね勇太君。」小さくなっていく夢香の後ろ姿を見送っていると 「しまった!お礼も言えなかった!(にしても可愛かったな…)…夢香か…
やばっ。僕も帰らなきゃ」

続く

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