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角砂糖が溶けていくように?

[399]  紗弥佳  2009-09-24投稿
「また誰も居なかったんだね。」

「うん。」

「大丈夫、俺は今ここに居る。」

背中に回された腕がさらにぎゅっと強くなる。
それに安心して私も彼の背中に腕を回す。
なぜか、その時泣いた。
ありがとう、と言いたかったのに、言葉の代わりに涙が出てしまった。

頭に手が置かれる。
髪を優しくなでられる。
どうしていいのか分からない。
目の前には、確かに彼が居てくれている。
でも、分かっている。
彼が帰ってしまった後、虚しさに襲われること。
これから何度、私は彼を真夜中に呼び出すのだろう。

「会いたかった。」

涙が止まらない。
ごめんなさい。
きっと、あなたの「会いたい」と私の「会いたい」は違う。
でも言えない。

「私も会いたかった。」
ありがとう、とごめんなさいを頭の中で繰り返しながら。
涙は止まらない。
彼の腕の中にいる温かさに甘えている。
ずっと、じゃない。
今、居て欲しい。
誰かに。
あなたにとははっきり言えない。
ごめんなさい。
夜の闇は表情を変えずに、雨が降り続いていた。

感想

  • 23048: エッセイのような小説…切なく美しい世界なり…シャイン [2011-01-16]
  • 23123: シャイン様、その期待を裏切ってしまうかも [2011-01-16]
  • 23124: しれません(笑)ぐにょんと変わるかも(^^;)紗弥佳 [2011-01-16]

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