角砂糖が溶けていくように?
「梨花。」
彼は吸っていた煙草を私の口元に運んでくれる。
一本の煙草をシーツに包まれて交代に吸う。
「梨花にはあと何回会えるんだろう。」
「え?」
彼が見せた最初で最後の悲しそうな顔。
「俺が、こんな真夜中は無理でも、呼んだら来てくれる?」
「行かれる限り行くよ。」
たぶん、それは嘘じゃなかった。
行かれる限り、行っただろう。
「あと何回梨花とこうして一緒にいられるんだろうね。」
私ははっきり答えられなかった。
あと何回こうするか、私にも分からなかった。
でも、ずっと続かないことだけは分かっていた。
行き止まり。
返事の代わりに彼の肩に頭を乗せた。
彼の唇がまた重なった。
何度も、何度も。
外の静かな雨音みたいに、優しかった。
優しければ、優しいほど苦しい。
温かければ、温かいほど、痛い。
気がつけばまた、温かくて優しい腕から逃れられない。
頭の中が甘くしびれる感覚に襲われる。
気がつけばまた、息を殺してため息を漏らしている。
求められることに甘えていたかった。
「俺だけの側に居て欲しい。」
完全に行き止まりだ。
それはできない、と初めから分かっているはずだ。
それを彼も知っていたはずだ。
「無理なのは分かってる。今すぐにじゃないよ。」
そう言って弱く笑った。
少しだけ眠ったあと、じゃあね、といって明け方に窓から帰って行った。
その背中を見送りながら、見えなくなったあと、さよならを言った。
もう真夜中、彼には電話をしなかった。
さよなら。
誰かを失くすのは嫌いだけれど、さよなら。
彼は吸っていた煙草を私の口元に運んでくれる。
一本の煙草をシーツに包まれて交代に吸う。
「梨花にはあと何回会えるんだろう。」
「え?」
彼が見せた最初で最後の悲しそうな顔。
「俺が、こんな真夜中は無理でも、呼んだら来てくれる?」
「行かれる限り行くよ。」
たぶん、それは嘘じゃなかった。
行かれる限り、行っただろう。
「あと何回梨花とこうして一緒にいられるんだろうね。」
私ははっきり答えられなかった。
あと何回こうするか、私にも分からなかった。
でも、ずっと続かないことだけは分かっていた。
行き止まり。
返事の代わりに彼の肩に頭を乗せた。
彼の唇がまた重なった。
何度も、何度も。
外の静かな雨音みたいに、優しかった。
優しければ、優しいほど苦しい。
温かければ、温かいほど、痛い。
気がつけばまた、温かくて優しい腕から逃れられない。
頭の中が甘くしびれる感覚に襲われる。
気がつけばまた、息を殺してため息を漏らしている。
求められることに甘えていたかった。
「俺だけの側に居て欲しい。」
完全に行き止まりだ。
それはできない、と初めから分かっているはずだ。
それを彼も知っていたはずだ。
「無理なのは分かってる。今すぐにじゃないよ。」
そう言って弱く笑った。
少しだけ眠ったあと、じゃあね、といって明け方に窓から帰って行った。
その背中を見送りながら、見えなくなったあと、さよならを言った。
もう真夜中、彼には電話をしなかった。
さよなら。
誰かを失くすのは嫌いだけれど、さよなら。
感想
- 23050: 行き止まり…わかっていても止まらない不可解な恋…合掌シャイン [2011-01-16]
- 23129: 恋は不可解…でも止められませんよね。紗弥佳 [2011-01-16]
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- 角砂糖通信・皆様へ
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