スラム part73
あまりに突然の決着に、ほとんどの人が驚きを隠せていない。
「おい、今のって…。」
慶吾が顔をこわばらせたまま言った。
「小内、巻き込みですよね。」
河野がつまりながら言った。
「あぁ、たぶんな。」
修二が答えるように言った。
たぶん。
柔道をやったことのある人がいるなら思うかもしれない。
たぶんってどういうことだ?と。
小内巻き込みは小内刈りをかける際に、全身で巻き込んでかける一種の捨て身技だ。
きれいに決まれば相手の上に転がりこむような形になる。
だから、たぶんというのはおかしいのだ。
この技をかけて小内巻き込みだとわからないはずがない。
だけど、かなりの実力者にしかわからなかっただろう。
見えなかった。
修二の目には写らなかった。
突然相手が倒れたようにしか見えなかった。
「礼。」
両者が礼をして戻ってきた。
「賢ちゃん頼んだ。」
悠が疲れているのに無理に笑顔をつくって言った。
「まかせとけ。最後まで、絶対に行こうぜ。」
賢之助が試合畳に向かっていく。
「ほらな、修二。ちゃんとつないだろ?」
また悠が笑った。
「あぁ、ありがとな。」
あぁ、俺何カッコつけてんだろ?
今の悠はすごかった。
俺なんかより全然。
なのになんで賞賛もかけないかなぁ俺。
修二は内心自分に嫌気がさしていた。
悠を褒める。
それは今の修二にとってあまりにも難しい。
きっと言えば自分は勝てない。
修二にはそんな気がしてならなかった。
「はじめぇ!!」
審判の声。
修二はただ試合を見つめて、待つ。
「おい、今のって…。」
慶吾が顔をこわばらせたまま言った。
「小内、巻き込みですよね。」
河野がつまりながら言った。
「あぁ、たぶんな。」
修二が答えるように言った。
たぶん。
柔道をやったことのある人がいるなら思うかもしれない。
たぶんってどういうことだ?と。
小内巻き込みは小内刈りをかける際に、全身で巻き込んでかける一種の捨て身技だ。
きれいに決まれば相手の上に転がりこむような形になる。
だから、たぶんというのはおかしいのだ。
この技をかけて小内巻き込みだとわからないはずがない。
だけど、かなりの実力者にしかわからなかっただろう。
見えなかった。
修二の目には写らなかった。
突然相手が倒れたようにしか見えなかった。
「礼。」
両者が礼をして戻ってきた。
「賢ちゃん頼んだ。」
悠が疲れているのに無理に笑顔をつくって言った。
「まかせとけ。最後まで、絶対に行こうぜ。」
賢之助が試合畳に向かっていく。
「ほらな、修二。ちゃんとつないだろ?」
また悠が笑った。
「あぁ、ありがとな。」
あぁ、俺何カッコつけてんだろ?
今の悠はすごかった。
俺なんかより全然。
なのになんで賞賛もかけないかなぁ俺。
修二は内心自分に嫌気がさしていた。
悠を褒める。
それは今の修二にとってあまりにも難しい。
きっと言えば自分は勝てない。
修二にはそんな気がしてならなかった。
「はじめぇ!!」
審判の声。
修二はただ試合を見つめて、待つ。
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