あのとき
Nさんはマンションの一室で荷物をまとめていた。とにかく急いでここを出なければいけない。さもないと・・・
ガタッ、と音がしてびくりとNが振り返るとそこには男がひとり立っていた。野球帽を深くかぶり、しかも土足で上がりこんでいる。
Nは「ああ、来てしまったか!頼む!命だけは助けてくれ!」と土下座しながら叫んだ。男は「なんのことだかよく分からんが、オレは泥棒だ。カネを出せ。誤魔化そうたってそうはいかない。この間お前がその金庫に大金をしまい込んだのをこの目で見たんだからな」 するとNはイヤに素直にカネを差し出した。泥棒は幾分か不審に思ったが、仕事が終われば、すぐにとんずらかくのが定石というもの。すぐさま立ち去った
数日後、例のコソ泥がアジト(と、言ってもボロアパートの一室だ)に戻ってくると留守電がかかっていた。上着を脱ぎ捨てながら留守電を聞いてみる。「・・・あ、あの時の泥棒さんですよね・・・
続く
ガタッ、と音がしてびくりとNが振り返るとそこには男がひとり立っていた。野球帽を深くかぶり、しかも土足で上がりこんでいる。
Nは「ああ、来てしまったか!頼む!命だけは助けてくれ!」と土下座しながら叫んだ。男は「なんのことだかよく分からんが、オレは泥棒だ。カネを出せ。誤魔化そうたってそうはいかない。この間お前がその金庫に大金をしまい込んだのをこの目で見たんだからな」 するとNはイヤに素直にカネを差し出した。泥棒は幾分か不審に思ったが、仕事が終われば、すぐにとんずらかくのが定石というもの。すぐさま立ち去った
数日後、例のコソ泥がアジト(と、言ってもボロアパートの一室だ)に戻ってくると留守電がかかっていた。上着を脱ぎ捨てながら留守電を聞いてみる。「・・・あ、あの時の泥棒さんですよね・・・
続く
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