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チンゲンサイ。<23>

[446]  麻呂  2009-10-03投稿

『ヒイィィィ―――ッッ!!

だ、誰か‥たっ‥助けてッッ!!』


悲痛な叫び声と共に聞こえて来たのは、聞くにたえない激しい罵声だった。


『バーカ!!俺らから、そう簡単に逃げられるとでも思ってんのかヨ?!

誰が逃がすか!!

てめぇの様な聞き分けの悪いヤツは、俺らが、うんと可愛がってやるから、遠慮すんなヨ!!』


ドカッッ―ー‐


『ゲフッッ‥‥ガハッ‥‥‥。

た‥たす‥‥けて‥‥‥。』


“助けて”と言った少年の、その声に、

無視して通り過ぎようとした俺の良心が痛んだ。


ゆっくりと後ろを振り返ると、


5人の若者が、たった1人の少年を相手に、暴行を加えているではないか。


『俺らに逆らうのは100万年早いんだヨ?!

分かってんのか?!オラッッ!!』


バキッッ―ー‐


『はあぅッッ‥‥‥。』


警察にでも電話しようか。


いや、そんな事をすれば、俺まで、この若者同士の争いに巻き込まれるだろう。

ここは、やはり黙って通り過ぎるしかない。


しかし――


心の葛藤と戦っていた俺の存在に、5人の若者の1人が気付いた。


『おい。そこのオッサン。

さっきから、そこで何見てんだよ?!

見せもンじゃねぇんだよ?!』


その若者が、俺に向かってそう言うと、

更に、また別のヤツがこう言い放った。

『ちょうどいい。

このオッサンにカンパしてもらおーぜ。』


つくづく、自分のタイミングと運の悪さを呪った。


こうなれは、もう覚悟するしかなかった。


俺は意を決して、正義感溢れる大人を必死に演じる事にした。


『君達、何があったかは知らないが、

5対1と言うのは、フェアじゃないな。』


我ながら、よく言ったものだと感心したと同時に、


本当の心の中には、言った事を後悔している自分がいた。


『んだとコラァ?!
じゃあ、てめぇが、このクソガキの代わりに、カンパしてくれんのかヨ?!』


更に次の瞬間、俺は驚くべき場面を目の当たりにする事となった。


なんと、俺に向かって、そう言ったヤツが胸ぐらを掴んでいたのは、


ユウだったのである。

感想

  • 23409: 揚羽:読んだよ?なかなか読む暇がなくて…面白くなってきた [2011-01-16]
  • 23411: じゃない?? [2011-01-16]
  • 23450: いつもコメント気付くの遅れてごめんなさい!! [2011-01-16]
  • 23451: わぁい!!揚羽さんに褒めてもらっちゃった(*^_^*) [2011-01-16]

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