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が、くさい 第二場

[229]  あこ  2009-10-04投稿
「あの……!英語劇の脚本は、受験英語にも役立つような、言い回しとかいっぱいあるんです。身体を動かしながら勉強すると良いって、どっかの本にも書いてあった気がするし……。ほら、ドラゴン桜っていう東大?を目指すドラマでもやってたじゃないですか!」

私は自分の口から言葉がスラスラ出て来ることに驚いた。

「あれは漫画だろ〜」
「あんな簡単に東大入れたら苦労しねーよ。」

クラスの後ろの席の男子がちゃちゃをいれる。でも私は負けずに続けた。

「それに!!うちのクラスって、団結して何かをやったことないな、って思ったんです。うちの高校が行事少ないせいもあるけど、体育祭の応援団も、合唱も……いつもなぁなぁで終わっちゃうじゃないですか。だから……高校最後だから…、何か思い出作りしませんか?せっかく担任が英語の先生なんだから、うちのクラスにしか出来ないもの、形に残したいです!!!」





教室が静まり返る。絶望的な沈黙がおりてきた。私はまくし立てて喋ったせいか、肩で息をしていた。まだ落ち着かず、呆然と目の先にいるあの人をなんともなしに見ていた。

すると、先生も私の視線に気付いたのか、勢いよく立ち上がった。

「瀬戸の意見はよく分かった。」

また沈黙。先生は沈黙をものともせず、一人険しい顔をして何か考えているようだ。この人は何をしても様になる。なんて、のろけのようなことを考えていたら先生の顔の力が緩んだ。

「やるか、英語劇。」

その人は力の抜けた、まるで子供が[放課後野球しようぜ]と誘うような口調で、さらりと言った。唇の端に照れたような笑いを含みながら。

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