アディショナルタイム (1)
チームから契約非更新を通達されたとき、数日後には昇格が懸かる大事な試合を控えていた。
「――まさか、この俺が……」
今シーズンは、全試合にスタメン起用されていたのだからまさに寝耳に水だ。
確かにここ数試合は途中交代が多かったけれど、昇格のためにがむしゃらにやってきた挙げ句がこの仕打ちとは、フロントに対しては怒りを通り越してただ呆れるばかりだ。
それでも監督からは次もスタメンでいくと言われていたし、気持ちを切り替えて練習に没頭するしかなかった。
迎えた大一番。
リードを許していたこともあって、俺は前半で退きベンチから戦況を見守った。一進一退の攻防が続き、スコアレスのまま試合はアディショナルタイムに入っていく。
このまま引き分けでは昇格は難しい……。
そしてラストプレーとなるフリーキック。
「頼む! 決めてくれ……」
俺は祈りながらキッカーの左足を見つめる。乾いた音と共に、大きく放物線を描いたボールは相手ゴールキーパーを嘲笑うようにそのままゴールネットを揺らす。
「やった!!」
高々と両手を突き上げると、待ちに待ったホイッスルがスタジアム中に鳴り響き、ベンチ前では歓喜の輪が出来上がった。
ついに悲願の昇格を決めたのだ!
急いでピッチ上で喜びに沸くチームメイトの中に加わったのだけれど、そんなところに素直に喜べない自分がいることがもどかしかった。
今シーズンの、いろいろな出来事が走馬灯のように駆け抜けていく。
「もう、こいつらと一緒に戦うことはできないんだ……」そう思うと、堪えきれなくなった熱いものが頬を伝っていった。
でも、これで終わりなんじゃない。俺の本当の勝負は、これからなんだ。
「――まさか、この俺が……」
今シーズンは、全試合にスタメン起用されていたのだからまさに寝耳に水だ。
確かにここ数試合は途中交代が多かったけれど、昇格のためにがむしゃらにやってきた挙げ句がこの仕打ちとは、フロントに対しては怒りを通り越してただ呆れるばかりだ。
それでも監督からは次もスタメンでいくと言われていたし、気持ちを切り替えて練習に没頭するしかなかった。
迎えた大一番。
リードを許していたこともあって、俺は前半で退きベンチから戦況を見守った。一進一退の攻防が続き、スコアレスのまま試合はアディショナルタイムに入っていく。
このまま引き分けでは昇格は難しい……。
そしてラストプレーとなるフリーキック。
「頼む! 決めてくれ……」
俺は祈りながらキッカーの左足を見つめる。乾いた音と共に、大きく放物線を描いたボールは相手ゴールキーパーを嘲笑うようにそのままゴールネットを揺らす。
「やった!!」
高々と両手を突き上げると、待ちに待ったホイッスルがスタジアム中に鳴り響き、ベンチ前では歓喜の輪が出来上がった。
ついに悲願の昇格を決めたのだ!
急いでピッチ上で喜びに沸くチームメイトの中に加わったのだけれど、そんなところに素直に喜べない自分がいることがもどかしかった。
今シーズンの、いろいろな出来事が走馬灯のように駆け抜けていく。
「もう、こいつらと一緒に戦うことはできないんだ……」そう思うと、堪えきれなくなった熱いものが頬を伝っていった。
でも、これで終わりなんじゃない。俺の本当の勝負は、これからなんだ。
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