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春の恋7

[269]  フラン子  2009-10-05投稿
こちらのフェンスに向かって野球部2人が帽子を被りながら走ってきた。

奈々「あ、猛…」

奈々がすぐにその野球部員が猛くんだと気づき、フェンスの下のブロック壁にサッと隠れた。

ということは、もう一人の部員は透くんだ。

私はこっそりブロック壁から頭を出して覗いた。

春(透くんって野球部だったんだ…。)

野球帽を深く被っていて鼻と口元しか見えない。野球のユニフォーム姿が新鮮で、さっき掃除の時間に話していた人と同一人物だと思えない。

私がしばらく透くんに釘づけになっていると、野球帽の下の透くんの目がチラっとこちらを向いた。

私はなんだか恥ずかしくなって、奈々と同じようにサッと頭を引っ込めた。

心臓がドキドキしてる。

奈々を見ると、同じように両手を胸元に置いて固まっている。

するとフェンス越しに猛くんと透くんの会話が聞こえてきた。

猛「オレもうダメかも…。自信ねぇよ。」

透「んー。」

猛「嫌われちゃったっぽいし…」

透「あきらめたら?」

春(…透くん、もっと誤解が解けるように会話してよ。汗)

隣の奈々を見ると、耳をダンボにさせて、複雑そうな顔をして会話を聞いている。

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