ふと倒れた男を見ると、なんと男から流れている黒い血から黒い生き者が、具現されている最中だった。
「お、おい！　あの血から変な生物が出てきたぞ！」

「私もあれは何なのかわからないわよ！」

　黒い生き物の姿が出来上がってゆく。

「は、早く逃げなさい」強い口調で彼女は言った。

「さっきみたく闘えばいいじゃないか」

「ダメよ。　あなたを操るのにはあなたの精神が必要なの。さっきの闘いであなたの精神は、ほとんど消費されたから、もたないわ…」
俺の精神って…あのくらいの動きだけでほとんど消費しちゃうのか…ってどんだけ精神力ないんだ〜

「わ、わかった逃げるぞ」咄嗟に公園のベンチの近くに止めてあった自転車へと走った。

　黒い生き物の具現が終わり、そこには全身真っ黒な熊のような生物がいた。両手には、長く鋭い爪。突然こちらに向かって猛スピードで走り出して来た。

「ま、まずい追いつかれる」後ろを振り向いたが、次の瞬間化物の鋭い爪に背中をえぐられ、激しい激痛と共にそこで意識がなくなった。

気がつくと俺はベッドの上に寝ていた。やっぱり今までの出来事は夢だったのか〜

「夢じゃないわ。　あなたと私は助けられたのよ」その声にビクッとした。指輪が…はめられてる。本当だったのか…

「ところで、ここはどこなの？」辺りを見渡すと、４畳ぐらいの狭い部屋だった。天井の明るい電気が、眩しい。

　するとドアの扉が開く音が、聞こえてきた。
「気がついたようね」ドアに立っていたのは、黒のワンピースを着た色白で腰の背丈まである灰色の髪が印象的だった綺麗な女の人だった。

「えっと、あなたは？　もしかして俺を助けてくれた人？」
「ま、そんな感じね…」お姉さんは、近くにあった椅子に腰を掛けた。


「ま、その話はおいといてと…まず自己紹介がまだだったわね」
「俺は、市内の高校に通っている相坂　雄といいます。」

そういえば、今まで気づかなかったけど腰の傷が治癒していた。現実的には考えられないことだな。てことは、このお姉さんはディアーガとかいうのと関係があるのか？

「私は、ヘレーナと呼んで。こっちの世界の住人ではないわ」すると指輪から声がした。

「あ、あなたこの世界の人間ではないって本当なの!?」

「へぇ〜やっぱりこの指輪〜ちょっと雄君見せて」小指の指輪を差し出した。

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