もしも明日が1-5
「ふっふざけるなぁぁ!」
バチバチィッ
赤い火花が少女の頬を掠める。
少女の頬に赤い線が引かれ、血が垂れた。
「そんなのじゃ私は殺せないわよ?」
少女の挑発的な態度に杉山は今度は幾つもの火花を少女へと走らせた。
「この…ッ『IC』めッ」
「アナタ、何発も撃ち過ぎよ。」
20はあろう火花を全て軽々とかわす。
「それに、私は『IC』じゃないってば。」
少女が次の言葉を発するのと杉山の背後に何かが現れるのはほぼ同時のことだった。
「…彼よ。」
「な…っ」
どん、と鈍い音がして杉山が倒れる。
「上出来ね。」
「ああ。
君、ホントに『IC』じゃないんだよね?」
「ええ。」
「君ほどの異能力者が『IC』に所属していないってのは勿体ないな。」
「……昔、同じことを言われたことがあるわ。」
「え…?」
火葉が聞き返そうとするが少女はその前にスタスタと歩き始めていた。
「え…あの、君!」
「杠<ゆずりは>。そう呼んで。
じゃあね、
手塚火葉クン」
少女の後ろ姿が学校の闇に溶けていく。
藍色の髪が月明かりを受けて蒼く見える。
藍色の髪と、鈴と、日本刀。
杠の特徴を記憶して火葉も杉山を引き摺りその場を後にした。
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