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アキ 8

[223]  ゆう  2009-10-05投稿
道なき道を、自分で切り開く。

進む道は、自分で決める


あの絵の下に透の名前を見て、会ってみたいと思った。
この絵を描いた人は、どんな人なんだろうと…。

ある日、ガラス越しに教室を覗いた。

すぐに、分かった。

生徒の絵を真剣に見ている。
優しそうな瞳。
透き通るような白い肌。綺麗な横顔…。
あ… 笑った。



もうこの時、俺は透に恋してたんだ。
今までまともな恋愛したことない俺が、こんな気持ちになるなんて…。


この日の内に絵画教室の体験に申し込んだ。


透に会ってすぐに左手の指輪に気づいたけど、見ないように、していた。

透の近くにいるだけで、透の横にいれるだけで、俺は俺でいられる気がした。

親も、病院も関係ない。俺の人生。


透に俺は救われたんだ。



「アキ?」
「…え」
「映画、おわった」

エンドロールもおわり、客が席を立っている。

「映画、よかったね。久しぶりに観たよ」
透が笑って言った。


透の側にいられる。

俺は幸せだ。





続く

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