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ほんの小さな私事(111)

[330]  稲村コウ  2009-10-06投稿
なつきさんを呼びに行った高野さんが戻ってくるまでには、まだ時間が掛かるだろう。その間、私はこの状況で何をしたらいいのだろうか?
そう迷っている私をよそに、櫻井君は、何らかの機械を組み立て上げ、それの動作の確認をしていた。
その機械は、筒状になっているものの先端に、アンテナの様なものがついていて、櫻井君がその機械のスイッチを入れると、アンテナ部分にオレンジ色の淡い光が浮かび上がってきた。
「取り敢えず、中に閉じ籠ってる霊を、この機械が発する波長を使って、外に出ないようにする。長くは保たないけど、加藤先生が来るまでの時間稼ぎにはなると思う。ただ、向こうも、黙ってはいないだろうし、さっき、君がはじいてくれたみたいだけど、何らかの攻撃みたいなのは仕掛けて来ると思うんだ。だから君には、その攻撃を防いでもらいたい。いいかい?」
櫻井君は、機械の動作確認を終えてから、私にそう言ってきた。
私は少し戸惑ったが、出来ることは出来るだけやっておきたいと思っていたので、無言で頷いた。

そんな時、私たちの後ろに、何かの気配を感じた。
それに気付いた私たちはらそちらに振り返る。そこに居たのは、先ほど、外へと連れ出した香取君であった。

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