アキ 10
“マタトマリニキテネ”
彼女と…どういう関係?
なんて…
聞くまでもない…。
なんで私こんなに落ち込んでいるの?
私の目の前でクラゲがフワフワとゆっくり泳いでいる。
…頭がクラクラする。
「透」
アキに軽く肩を叩かれ、我に返る。
「ごめん。あいつ高校の同級生で…」
「そう」
わざとそっけない返事をする。
「…ゆかとは何でもないから」
「そんな、別にいいよ。アキに彼女がいても、私がとやかく言う事じゃないでしょ」
そう。
私はとやかく言える立場でも、何でもない。
「透が嫌なら会うのやめるよ」
何それ…。
私は何様よ。
自分は結婚していて、旦那がいる身で、一回りの下の男の子とデートしてる。
アキを縛り付けることなんか、できる訳ない。
「“お互い深入りしないこと”。約束でしょ?」精一杯笑顔でアキに言った。
「そうだけど…」
「今度は向こうに行ってみようよ」
いつの間に、こんなにアキに惹かれていたんだろう。
自分自身、驚いていた。
続く
感想
感想はありません。