アキ 13
ドクン ドクン ドクン…
自分の心臓の音だけが大きく聞こえる。
間違いない。
旦那だ。
近づいてくる。
「透。偶然だな。教室おわったの?」
「うん。今帰り」
精一杯、平静を装って答える。
アキ。
アキには私達がどう映っているの?
「生徒さん?」
「名波アキです。いつも先生にはお世話になってます!」
私が返事するより先に、アキがハキハキとした口調で答えた。
「先生、旦那さんと一緒に帰ったらどうですか?絵の話はまた来週お願いします」
笑顔でアキが言う。
どんな気持ちで言ってるの?
アキは平然としている。
アキは、平気なの?
「そうね。そうするわ。また来週、名波くん」
私も笑顔で返事する。
「失礼します」
アキは私達にペコッと頭を下げ、歩いて行ってしまった。
「あんな若い子も生徒なんだ。お年寄りだけかと思ってたよ」
「うん…」
アキの後ろ姿に、胸が締め付けられた。
その夜、旦那と寝た。
久しぶりのセックス。
アキの彼女に会ったからなのか。
アキがあの子と寝ているからなのか。
旦那に会った時のアキの態度が平然としていたからなのか。
そこにアキはいないのに、私は当てつけのように旦那に強く抱きついた。
続く
自分の心臓の音だけが大きく聞こえる。
間違いない。
旦那だ。
近づいてくる。
「透。偶然だな。教室おわったの?」
「うん。今帰り」
精一杯、平静を装って答える。
アキ。
アキには私達がどう映っているの?
「生徒さん?」
「名波アキです。いつも先生にはお世話になってます!」
私が返事するより先に、アキがハキハキとした口調で答えた。
「先生、旦那さんと一緒に帰ったらどうですか?絵の話はまた来週お願いします」
笑顔でアキが言う。
どんな気持ちで言ってるの?
アキは平然としている。
アキは、平気なの?
「そうね。そうするわ。また来週、名波くん」
私も笑顔で返事する。
「失礼します」
アキは私達にペコッと頭を下げ、歩いて行ってしまった。
「あんな若い子も生徒なんだ。お年寄りだけかと思ってたよ」
「うん…」
アキの後ろ姿に、胸が締め付けられた。
その夜、旦那と寝た。
久しぶりのセックス。
アキの彼女に会ったからなのか。
アキがあの子と寝ているからなのか。
旦那に会った時のアキの態度が平然としていたからなのか。
そこにアキはいないのに、私は当てつけのように旦那に強く抱きついた。
続く
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