白い天使のうた(2)
まるで野性の動物が相手を警戒するかのような目つきで、少女はこちらを見た。
そしてすぐに、何歩か後ずさりをしたと思ったら、
後ろを何度も何度も振り返りながら最後まで警戒した顔付きで、
施設の扉へと姿を消して行った。
あまりにも一瞬で、
塚本は誤解を解く暇もなかった。
いや、誤解とはなんだろう。
普通に歩いていて、普通はあそこまで警戒されるだろうか。
そこまで牧師面している訳ではなかったが、
それでも、愛嬌のある、親しみのもてる顔だと、自他共にいわれてきたつもりである。
「んー、なんだろう。」
塚本は、なんとなく気にはなりつつ、まぁ別にいいだろう、となかったことにしようと忘れるために、施設へ今来た道を戻り出した。
すると、さっきの職員さんにまたばったりと会ってしまったので、なんとなく聞いてみた。
「さっき向こうで女の子と会ったんだけど、一人で手を上げながらうたを歌ってて。
僕を見るなり、一目散で逃げちゃったんだけど。」
塚本は最後のほうをややイヤミっぽく言ってみた。やはり、少しショックだったのである。
「あー、あの子ですね。あ、うん。りらちゃん。」
と名前も知らない職員さんは、少しためらいながら教えてくれた。
「あの子、父親から性的虐待を受けていたんですよ。母親が、あの子を置いたまま不倫して蒸発して。
それで父親から虐待を受けるようになったみたいなんですけど。始め、多少の殴る、蹴るだったのがだんだんエスカレートして。
しまいには、強姦まがいのことをしたみたいです。
信じられます??実の親がですよ。」
そこまで話して、その職員さんは自分のことみたいに「うぇっ」と胸を押さえて咽かえした。
「それを一匹のうさぎちゃんに彼女はずっと話していたんです。彼女にとって、唯一話を聞いてくれる一番の友達だったんです。
その彼女が話しているのを聞いた父親が激怒して、彼女の目の前でそのうさぎを切り刻んで殺したんですって。
信じられますか?
彼は、何をしているんだ?!
自分のしていること自体間違っているのに、彼女の唯一の友達さえも奪ったんですよ。彼女から!
それも、彼女の目の前で!!」
彼の説明は、非常に感情がこもっていて、塚本にとっても非常に生々しい話となった。
そしてすぐに、何歩か後ずさりをしたと思ったら、
後ろを何度も何度も振り返りながら最後まで警戒した顔付きで、
施設の扉へと姿を消して行った。
あまりにも一瞬で、
塚本は誤解を解く暇もなかった。
いや、誤解とはなんだろう。
普通に歩いていて、普通はあそこまで警戒されるだろうか。
そこまで牧師面している訳ではなかったが、
それでも、愛嬌のある、親しみのもてる顔だと、自他共にいわれてきたつもりである。
「んー、なんだろう。」
塚本は、なんとなく気にはなりつつ、まぁ別にいいだろう、となかったことにしようと忘れるために、施設へ今来た道を戻り出した。
すると、さっきの職員さんにまたばったりと会ってしまったので、なんとなく聞いてみた。
「さっき向こうで女の子と会ったんだけど、一人で手を上げながらうたを歌ってて。
僕を見るなり、一目散で逃げちゃったんだけど。」
塚本は最後のほうをややイヤミっぽく言ってみた。やはり、少しショックだったのである。
「あー、あの子ですね。あ、うん。りらちゃん。」
と名前も知らない職員さんは、少しためらいながら教えてくれた。
「あの子、父親から性的虐待を受けていたんですよ。母親が、あの子を置いたまま不倫して蒸発して。
それで父親から虐待を受けるようになったみたいなんですけど。始め、多少の殴る、蹴るだったのがだんだんエスカレートして。
しまいには、強姦まがいのことをしたみたいです。
信じられます??実の親がですよ。」
そこまで話して、その職員さんは自分のことみたいに「うぇっ」と胸を押さえて咽かえした。
「それを一匹のうさぎちゃんに彼女はずっと話していたんです。彼女にとって、唯一話を聞いてくれる一番の友達だったんです。
その彼女が話しているのを聞いた父親が激怒して、彼女の目の前でそのうさぎを切り刻んで殺したんですって。
信じられますか?
彼は、何をしているんだ?!
自分のしていること自体間違っているのに、彼女の唯一の友達さえも奪ったんですよ。彼女から!
それも、彼女の目の前で!!」
彼の説明は、非常に感情がこもっていて、塚本にとっても非常に生々しい話となった。
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