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神戸にいらしゃい!

[723]  くずみみ  2009-10-09投稿
学生のアルバイトといえば、客商売を選ぶ人が多いと思う。
なんたって同年代の仲間が多いし、体力も使わない。時間の融通もきく。
職種も豊富だ。
俺もそんな理由で、客商売を選んだ一人だった。

―ただ俺は、関心の゙職種゙を間違えた。
はっきり言おう。今から語るお話は、すべて実話である。
みなさん、お土産屋にはご用心を―\r



「……らしゃーい」
クソ寒い冬の真っ只中。
クソな客がやってくる。
今回の敵は50歳くらいの太ったババアだった。
香水くせぇ。
「ちょっとお兄ちゃん。聞きたいんやけど」
「……何でしょうか?」
もう嫌な予感しかしない。
「とうとうタワーってどうここから行けばつくのん?」
とうとうってなんだ!TOTOか!
便器とか作ってる会社がタワー作んのか!
また厄介なのが来たな。
「あのー失礼ですが、ポートタワーの事でしょうか」
「ちゃうちゃう!とうとうタワー!赤い砂時計みたいな形の!」
「それ、多分ポートタワーであってるかと…」
途端、ババアの眉間にシワが寄った。
「ちょっとあんた、私が間違ってるとでもいいたいん?」
あくまで便器社製の塔があると言い張るババア。
…本当に厄介だ。
俺がどう対処しようか迷っていると、
「もうええわ。自分で捜すし。ホンマ無能やな」
これは、もうキレていいですよね。
しかもあろうことかこのババア、「ついでにここでお土産屋買って帰ろ」とか言い出す始末。
その店の店員を面と向かって無能と罵っておきながら、なんと言う図々しさであろうか。
「ちょっとお兄ちゃん。あれはないん」
またか。
「あれ…と、申されますと?」
「あれやんあれ。緑の…あぁ、神戸ブロッコリーのストラップ」
今度はブロッコリーか!
ご存知の通り、神戸の名産の中にブロッコリーなど無論ない。
「はぁ、存じ上げないですね」
「あんなに有名やのに、知らんの!?」
有名なのか!
「あっ、あるやんここに!」
うそん。
そうしてババアが喜々として持ってきたのは。
「…非常に申し上げにくいのですが…これはまりもっ○りです。ブロッコリーではないです。」
「そんなん知らんがな。それで、ブロもっこりーいくらなん?」



みなさん、本当にお土産屋には、ご注意を。

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