アキ 16
絵画教室から3日前…。
「急に呼び出して、ごめんね」
ゆかに最後に話がしたいと、呼び出された。
「外で会うの、久しぶりだね」
オレンジジュースを飲みながら、ゆかが言う。
「ゆか。俺もう…」
「あのおばさん、結婚してるんだよね?」
笑顔でゆかが言葉を続ける。
「ゆかの方が全然若いし!ゆかの方がアキに合ってるよぉ。今までだって楽しくやってきたじゃん」
「……俺、あの人が」
「だって!あのおばさん…」
「おばさんゆーな」
俺はゆかを睨んだ。
「…だって、あの人結婚してるんだよ!アキ無理じゃん!あの人と結ばれることないじゃん!ゆかはアキの為を思って言ってるんだよ!」
ゆかの言葉はザクザクと俺の胸に刺さった。
「…俺の為を思うなら、もうほっといて」
「……」
「…アキの相手があの人なんて…ゆか耐えられない…」
俺は席を立った。
「今まで…ありがとな」「殺すよ」
「…え?」
一瞬、何を言っているのか分からなかった。
「ゆか、あの人殺しちゃうよ」
「…何言ってんだよ」
ゆかは俺のことをまっすぐ見ている。
「……もし、あの人になんかあったら、俺がおまえを殺す」
そう言い捨て、俺は店を後にした。
後ろから声が聞こえたみたいだったが、振り向くことはなかった。
続く
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